国の登録有形文化財(建築物)
北村家住宅主屋(旧土田旅館) 登録年月日
・平成19年10月22日
所在地
・標津郡中標津町字武佐957-6
年代
・昭和2年(昭和11年移築、平成13年改修)
登録基準
・1 国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価
・旧国鉄上武佐駅周辺の市街地に建つ。
・入母屋造2階建で、外壁を下見板張とする。
・2階は正面を半間張り出し、内部は4部屋と納戸、中廊下などからなり、良質の意匠によるトコや違棚、平書院なども残している。北海道の駅逓制度の歴史を伝える構造である。
備考(調査等)
・武佐駅逓所の宿泊施設として増築されたもの。
沿革
・大正5年10月16日
中標津町の現上武佐地区に、官設「武佐駅逓所」が創設される。
「武佐駅逓所」は1階平屋建てであった。取扱人に伊藤 繁喜が任命される。
・昭和2年1月15日
線路の上の貨車を馬で引く殖民軌道が中標津市街から中央武佐地区まで延び、それに合わせて駅逓所も上武佐地区から武佐中央地区に移築された。
駅逓所の移築に合わせて、駅逓所建造物の右側に、現「北村家住宅」の基礎となる建造物(木造2階建て)が併設され、駅逓所に立ち寄る旅人の宿泊施設として利用された。
※このことにより、現「北村家住宅」の建築年を昭和2年1月15日と確定する。
・昭和6年5月10日、官設「武佐駅逓所」が廃止。
・昭和8年5月12日
北海道庁告示1045号にて、伊藤正信氏(繁喜の長男)に無償付与される。
・昭和11年に併設部分を含む駅逓所施設の所有権が土田有一氏に移る。
国鉄標津線の開通により、殖民軌道も廃止されるため、当該建造物は駅が設置される上武佐地区にふたたび移築。
・昭和12年2~4月
移築した駅逓所を活用し、「土田旅館」営業開始。
・昭和12年10月30日
国鉄標津線開通により、「上武佐駅」運営開始。
・昭和60年
「土田旅館」は廃業となり、一時土木工事などの作業員宿舎として活用されてきたが、
老朽化により使用されなくなり、その後無人廃屋となった。
・平成13年
北村久美子氏が所有者となり、建造物を修復し居住することとなった。
修復の際には、大正11年建築の駅逓所部分(1階平屋建て)はすべて解体され、昭和2年に併設された宿泊施設部分(木造2階建て)が現存する建造物の基礎となっている。
現在は、この宿泊施設部分であった建造物に、台所を加えるなど、一部内部の改築が行われ一般住宅として活用されている。